蕎麦屋さんが少ない新宿にある貴重な一軒

新宿駅西口から徒歩数分。飲食店がひしめくエリアですが、老舗と呼べる店はそう多くありません。
そんな中、半世紀以上もこの地で営業を続けているのが『手打蕎麦 渡邊』です。
再開発の波に揉まれ、ビルが建て替わり、テナントが入れ替わっていく新宿において、変わらず暖簾を守り続ける家族経営のお店。一歩足を踏み入れると、そこには懐かしくも活気ある空間が広がっています。

作りたてのおつまみで、まずは一献

まずはビールをもらって、スタート。銘柄はキリン一番搾りです。よく冷えたビールで喉を潤したところで、おつまみを頼みます。

玉子焼き、栃尾揚げ。どちらも作り置きではなく、注文が入ってから調理してくれます。
運ばれてきた玉子焼きからは、出汁のいい香りがふわり。箸を入れるとジュワッと旨味が溢れます。 栃尾揚げも焼きたてで、ハフハフと言いながら食べるこのホクホク感がたまりません。こういう「ちゃんとした」手料理のおつまみがあるのは、飲み手として本当に嬉しいポイントです。
千葉の銘酒「東薫」と天抜きで粋に

ビールが空いたところで日本酒へ。千葉の銘酒「東薫」をお願いしました。
合わせるのは「天抜き」。天ぷらそばの「そば抜き」です。衣がつゆを吸ってとろりとしたところを肴に、冷や酒をキュッと。

揚げたての海老天の香ばしさと、つゆの甘辛さが酒を進ませます。大人になってよかったとしみじみ思う瞬間です。

天ぷらとつゆが別々に提供されるのは珍しい。最初はつゆに浸して食べましたが、天抜きの醍醐味はつゆをたぷたぷに吸わせた衣だと思うので、最後はすべてをつゆの中へ。これで日本酒が何杯(適量)でも飲めてしまいます。
〆は打ちたての手打ち蕎麦で

地酒もよいけれど、蕎麦屋さんのお酒といったら、やっぱり菊正宗でしょう。おなじみの本醸造1合瓶が登場。お燗が美味しい季節です。

ご主人の蕎麦打ちをずっと眺めていたら、やはり最後は手繰りたくなりました。もっぱら居酒屋使いで蕎麦屋さんを利用しているので、蕎麦を食べずに飲む「蕎麦前」だけで済ますことも多いのですが、今日は別です。

北海道と茨城の粉をブレンドした手打ち蕎麦。二八のようです。

平たく細めながらしっかりとしたコシがあり、素晴らしい喉越し。

つゆは、いわゆる老舗系とはまた違った、少し甘めで重く濃い味。これが蕎麦の香りを引き立てます。 最後は蕎麦湯でつゆを割り、余韻に浸りました。うん、ここのお蕎麦、好きなタイプ。
新宿の使い勝手が広がる一軒

新宿に老舗蕎麦屋はそう多くありませんが、渡邊を知っておくと街歩きがぐっと楽になります。
通し営業で、一人でもグループでも、そして昼からでも気兼ねなく美味しい蕎麦とお酒が楽しめる。買い物の合間に、ふらっと暖簾をくぐってみてはいかがでしょう。
| 店名 | 手打蕎麦 渡邊 |
| 住所 | 東京都新宿区西新宿1丁目12−10 八洋ビル |
| 営業時間 | 11時00分~21時30分 日曜日定休 |
| 創業 | 1972年 |
転載元:https://syupo.com/archives/101248
塩見 なゆ:酒場案内人
酒と酒場に関する知識や体験を『居酒屋巡りガイド Syupo®︎』 やYouTube、マスメディア、イベント、紙媒体で発信・執筆・監修。酒専門フリー歴10年以上
仕事や趣味で、北は稚内から南は沖縄の離島、ときには海外まで、1万軒以上を訪ね歩いています。その中で、自信を持っておすすめできる酒場をSyupoでご紹介!
